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けんじさんの死別体験 エピソード001 旅行から帰ってきたらパートナーが亡くなっていた
◆警察が来ました
2時半くらいでしょうか? しばらくすると、警察官がやってきました。警察官は本人の様子を見て、「本人の名前は?」「この人の荷物はどれ?」など、私に聞いてきました。ひろしさんと私は、ほとんど同居していましたが、ひろしさんはほかに住居をもっており、ここは私のマンションでした。そのため、ひろしさんのバッグを指して「これがひろしさんの荷物です」と警察に告げました。
警察官は、ひろしさんを青いビニールに包んで連れて行ってしまいました。ひろしさんの荷物も。警察からは、遺体を発見したときの様子を聞かれました。
警察「遺体を発見した経緯は?」
私 「私が旅行から帰ってきたら亡くなっていました」
警察「本当ですか? 旅行のチケットとかは持ってますか?」
私は飛行機の行き帰りのチケットの半券を見せました。
警察「本当のようですね。彼との関係は?」
私はちょっと躊躇しましたが、「パートナーです」と告げました。
警察官は「へぇ」と別に驚いた様子もなく納得したように見えました。
旅行に行っていたことが事実とわかると、特に事情聴取もなく、警察はそのままひろしさんを連れて、全員撤収して行きました。私は最後に「ひろしさんの顔を見たい」と警察に告げると、ブルーシートから顔を出して見せてくれました。ただ、何分もすると「もういいだろ!」と怒った口調になりました。
警察官のうちの一人には、ちょっと驚くような言動がありました。「そういう関係なら、どうやるの?」と平気な顔をして聞いてきたのです。「この状況でそんなことを聞くのか?」と怒りがこみ上げてきましたが、「そんなことはしていませんよ」と言うと、それ以上は聞いてきませんでした。
撤収したのがだいたい4時半くらいだったと思います。私はポツンと一人残され、呆然としていましたが、なぜか8時くらいになると「仕事に行かなくちゃ!」と思いました。よく覚えていませんが、そのまま仕事に行きました。会社には親友が亡くなったとだけ伝えました。