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けんじさんの死別体験 エピソード003 悲嘆からの回復—グリーフケアとの出会い
◆ひろしさんの顔が思い出せない
数か月の間、ひろしさんの友人と話をしていると、慰めのつもりなんでしょうけど、「夢に出てくるでしょ!」などと軽く言われることがよくありました。でも、ひろしさんは夢にも出てこないどころか、写真を見ない限り、どんな顔をしていたのか、どんな声をしていたのかということすらも思い出せなくなっていました。そんな自分を「ひろしさんのことを好きじゃなかったのか?」「愛情が薄かったのか?」「僕と付き合わなかったら死ななくて済んだんじゃないだろうか?」などと考えるようになりました。
また、街を歩いていると、よく「あれはひろしさんに似合うんじゃないかな?」と考えている自分に気づきました。ご飯を食べていても「ひろしさんはあれを食べたいんじゃないかな?」「これは美味しいから今度一緒に来たいな」などと考えたりしていました。ひろしさんはもういないのに。