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けんじさんの死別体験 エピソード003 悲嘆からの回復—グリーフケアとの出会い
◆自分は世界で一番不幸だという思い
ひろしさんが亡くなった後、葬儀までは気が張っていましたが、それが済んでしまうと、何を張り合いに生きて行けばよいのかわからなくなってきました。飲み屋さんなどでもひろしさんの話題も出なくなり、一体自分は何のために生きているのだろうか? この先、どうやって生きて行けばいいのだろうか?と毎日考えるようになりました。仕事も頑張っていましたが、「ひろしさんとの将来のために頑張っていたのにな~」と思うと、頑張る気力がなくなってしまいました。結局、ひろしさんが亡くなってから、半年ちょっとで会社も辞めてしまいました。
時々はひろしさんのためにご飯を作ったりもしていたのですが、ひろしさんが亡くなってからは、料理ができなくなってしまいました。気力がなくなったというだけではなく、やる気が起きないのです。冷蔵庫の中身も、亡くなったときのままになっていました。
あとは、ひたすら毎日、ひろしさんの行っていた飲み屋に行き、終電まで飲むという生活がスタートしてしまいました。そうなると、ゲイで結婚もせずに相方を亡くした自分が「世界一不幸なんじゃないか?」と考えるようになっていました。