• けんじさんの死別体験 エピソード003 悲嘆からの回復—グリーフケアとの出会い

    ◆グリーフケアとの出会い

    そんな生活になって、毎日インターネットで、ゲイでパートナーを亡くした人のブログなどを読み漁っていました。そんなにたくさんはないのですが、そのようなブログを読んでいると、多くの人に慕われていたパートナーの話や、相手の家族との話、家族が葬儀を行ない、その葬儀に参加した話などを読み、「家族がいた人はいいなぁ」とか、「自分ほど不幸な人はいないよなぁ」ということばかり考えるようになりました。
    私は医療系の仕事をしていたので、「グリーフケア」という言葉は知っていました。グリーフケアとは、「大切な人を亡くした人が、グリーフ(悲嘆)から回復するために、同じような境遇の人たちと一緒に自分の思いや思い出などを話し合い(ピアサポート)、そのようなケアを受けることで、悲嘆から回復しやすくなる」というものです。
    私は、「ふとグリーフケアを受けてみようかな?」と思い、インターネットで調べてみることにしました。しかし、ゲイのためのグリーフケアというものは全然見つかりません。一般の「がん患者のグリーフの会」や「遺族支援」といったものはありますが、抱えている問題や課題がまったく違うので、そういうところに行ったとしても、自分の悩みが解決(解放?)されるとは思えませんでした。
    ずっと調べてみると「NPO法人パープルハンズ」というところで「グリーフ分かち合いの会」を行なっていることがわかりました。しかし、当時は年に4回(3か月に1回)程度であり、知った時はX+1年3か月で、開催の5月までは時間がありました。しかし、そこしかないため、待つことにしました。