• けんじさんの死別体験 エピソード003 悲嘆からの回復—グリーフケアとの出会い

    ◆グリーフケアへの参加

    5月になり、意を決して「グリーフ分かち合いの会」に参加しました。15時から17時までの2時間でした。開催者も含めて4人くらいしかいませんでしたが、急に参加した私をあたたかく迎えてくれました。あまり覚えていませんが、1回目は最初の自己紹介の後、ひたすら泣きながら、ひろしさんが亡くなった話、警察が来て遺体を持って行ってしまった話、身元確認をさせてくれなかった話、DNA鑑定の話、子どもの頃に離れ離れになったお兄さんが遺体を引き取らなかった話などなど、あふれるように話したような気がします。
    自分のことばかりずっと話してしまいましたが、皆さんはずっと聞いてくれていたので、今思えば非常に自分勝手だったなあと思います。でも、話を理解できる人たちに話を聞いてもらいたかったのだと思います。ひたすら、こんなだった、こんなだったと話したような気がします。
    もちろん、正解があるわけではありません。それでも、「こちらの話を理解できる人たちに話を聞いてもらいたかった」「話を聞いてくれた」ということで、かなり気持ちが落ち着いたような気がします。
    さらに、参加者はパートナーを亡くした人がほとんどでしたので、不幸なのは「自分だけではない」ということがよくわかってきました。
    2回目からは、他の参加者の話もお聞きし、いろいろなパターンがあるんだなぁということがよくわかってきました。
    グリーフケアでは「不幸の比較をしてはいけない」と言われます。それでも、自分よりもずっとたいへんな人たちがいて、悲しみを乗り越えるために頑張っているのを目のあたりにすると、自分だけではないと思えるようになりました。
    例えば、パートナーに親兄弟がいたときに、相手の親とトラブルになってしまったり、トラブルにはならないにしても、相手の親と連絡を取り合わなければいけなかったり、病院の対応でひどい目にあったり、葬儀へ参加させてもらえなかったり、などです。