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ソウマさんの手記「30年を共にした同性パートナーとの死別」 <闘病篇>
◆一時退院と遺言書
抗がん剤治療が始まり、少し安定してきたころ、1日だけ自宅に戻ることが許された。
帰宅したら遺言書を書こうと2人で決めていた。
最も心配なのは2人で半分ずつお金を出し合って建てた家のこと。戸籍上他人である私たちには相続権がないため、パートナーの親族とトラブルになる。
家を建てると決めたとき、どちらかが先に亡くなっても、親族には渡さず、残った方が自分の生活のために使おうと約束していた。
カオルには公証役場に行く体力も時間もなかったため、自筆ではあったが、家と家財はパートナーに残すという内容の遺言書をお互い1通ずつ作成した。