-
ソウマさんの手記「30年を共にした同性パートナーとの死別」 <闘病篇>
◆最後の約束
ホスピスに説明を受けに行った翌日、カオルは言葉を探しながら私に聞いてきた。
カオル 「家はどうなるの?」
私 「売ったりしないよ、2人で約束した通り」
カオル 「そう」(ホッとしたようにうなずく)
カオル 「他に聞きたいことある?」
私 「大丈夫だよ」本当は聞きたいことはあった。「一人残されたあと、私はどうすればいいの?」「あなたは自分の死をどう受けとめているの?」
だが、その質問をすることは「あなたはもうすぐ死ぬ」と言っているのに等しい。それに死後の不安まで背負わせてはいけないと思った。