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A(50代ゲイ男性)の死別体験記
<突然倒れて>
37歳の時8年間一緒に暮らしていたパートナーと死別体験をしました。彼とは、 29歳の時に出会い、二人とも両親にカミングアウトをしていて、両家の両親と一緒に食事をするなど家族ぐるみの付き合いをしていました。
あの日は、二人で出かける約束をしていたのですが、私は先に用事があって出かけていて、予定より20分ほど帰りが遅くなってしまいました。部屋に戻ると、彼は倒れていて、意識がなく、すぐに救急車を呼びました。まだ体もあったかかったので、心肺蘇生法をしながら、救急隊を待ちました。救急車に乗り込み、幸いすぐ近くの病院が空いていたのでICUに入ることができましたが、「あなたは、家族ではないので」扉の外で待つように言われました。それで、彼の両親に知らせなければと、電話をかけました。待っている間、彼が助かったのか、どうなのか知ることができず、いてもたってもいられない状態でした。
また、もうちょっと早く帰ってあげればよかったという後悔。大失敗したと自分を責める気持ち。あの時もう少しこうすればという思いがぐるぐると頭の中で回っていました。
夕方彼のご両親が仕事を終えて病院に来て、一度ICUに入りましたが、すぐに出てきて私を病室の中に入れてくれて、「この人も家族同然の人だ」とお医者さん宣言してくれて、その後も、私が家族と同じように面会や病状を知ることができるようにしてくれました。
そして、家族だけになった時に彼のお父さんが「誰も責めるな」と言って、その言葉に救われた気がしました。