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A(50代ゲイ男性)の死別体験記
<入院生活>
彼の病状は、人工呼吸器につながれていましたが、心臓はまだ動いていて、まるで生きていて寝ているような感じでした。とはいえ、意識はなく、しゃべることも、こちらの呼びかけにも応えられない状態でした。
そのような状態で、約2ヵ月、入院していました。自分としては、生きてほしい、希望を捨てちゃいけないという気持ちと、でも、あきらめなきゃいけないという思いの間で揺れ動く心持ちでした。少しでも彼との時間を過ごせるようにと仕事前や帰りに毎日面会に行きました。
いざという時に備えて、少しずつ親族や友人・知人を病室に招くことにしました。私の父も病院に見舞いに来て、「何でこんないい人がこんなことになっちゃうんだ…」と我が子のように悲しんでくれました。彼の友人たちもたくさん来てくれて、動かなくなった彼に呼びかけたり、手を握ったりしながら、お別れをしてくれました。
2ヶ月経って、病院での面会を終えてちょっと出かけた時に、ふと「充分やったよね」「そうだよね、頑張ったよね」とか、心の中で彼と対話している自分に気づきました。ちょうどその頃、彼は天に召されていました。私は立ち会うことはできませんでしたが、ご両親には連絡が入ったので、両親に見守られるなかで彼が息を引き取れたのは、良かったと思いました。