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【アライアスリート・インタビュー④】「知らないなら学べばいい」 元柔道選手・谷本歩実が目指す、すべての選手が「自分らしく」いられるスポーツ界

プライドハウス東京(PHT)では、2022年より、「アライアスリート」の輪を広げる活動に取り組んでいます。アライ(ally)とは、「同盟、味方」などを表す言葉。LGBTQ+当事者の味方としてともに行動する人たちを総称してアライといい、LGBTQ+当事者もアライになることができます。アライアスリートは、そのようなアライであることを公言し、スポーツ界から社会を動かすアクションを一緒にしていくアスリートです。

そうしたアライアスリートの育成・輩出にPHTとして取り組みはじめて早3年。今年、アライアスリートの人数が45名になりました。そこで、2025年度は、多様なアライアスリートの存在を知っていただけるよう、インタビュー連載を実施しています。全10回にわたり、各アスリートの来歴やアライアスリートになったきっかけ、活動内容などを取材。それぞれの想いをお届けします。

連載4回目は、元柔道選手で現在はアスリートが自分らしく活躍できる環境整備に力を注ぐ谷本歩実(たにもと・あゆみ)さんにインタビューを実施。谷本さんの現在の活動内容やアライアスリートになったきっかけ、スポーツ界への思いなどをたっぷりと語っていただきました。

 

■プロフィール

谷本歩実(たにもと あゆみ)/元柔道選手

1981年生まれ、愛知県出身。小学3年生の頃に柔道を始め、女子 63kg級(中量級)の選手として活躍。世界選手権やアジア選手権など世界的な大会で複数回メダルを獲得した。2004年にアテネ、2008年に北京で開かれたオリンピックでは、2大会連続全試合一本勝ちで金メダルを獲得。その後、2010年に現役を引退。指導者として活動した後、現在は、日本オリンピック委員会理事、日本パラリンピック委員会強化本部長としてアスリートがパフォーマンスを発揮するための環境整備に取り組んでいる。

 

柔道選手を引退後、より良いスポーツ界を目指して活動

——柔道選手としてアテネオリンピック、北京オリンピックで金メダルを獲得し、活躍していた谷本さん。2010年に現役を引退後、現在はどのような活動をされているのですか?

選手やスタッフがパフォーマンスを最大限に発揮できるようにするための環境整備に携わっています。

 

——谷本さんは何歳の頃に柔道を始めたのですか?

小学3年生です。当時、漫画『北斗の拳』に登場する優しくて強いキャラクターたちに憧れていました。そんな私には「柔道がぴったりだ」と見込んだ父が柔道場に連れて行ってくれて、柔道を始めることになったんです。

 

——9歳の頃から2010年まで長く柔道を続けてこられた谷本さんは、競技のどのような点に魅力を感じているのでしょうか。

柔道では、試合で戦う相手は「敵」ではなく「仲間」だと教わります。仲間と共に稽古を重ねながら、最終的に社会の役に立つ人間を目指す。柔道を通じて目指すのは、勝つことではなく、人間性の向上なのです。そうした柔道の理念と精神性が好きで、柔道の世界にのめり込んでいきました。選手としてさまざまな大会に出るようになったころには、技術を磨いて一本で勝つ美しい技の習得を志すなど、武士道が背景にある柔道の本質、芸術性の高さを追い求めることも、柔道を究め続ける動機となっていましたね。

 

——現在はスポーツ界での仕事と子育てを両立されていると伺いました。

そうなんです。子育てと仕事の両立は本当に大変です。今後スポーツ界で女性がさらに活躍するためにも、時代に合った道を切り拓いていくことが大切だと考えています。私は引退後、指導者をしていたのですが、24時間365日、本気で競技に取り組む選手のサポートと子育てとの両立は毎日が全力投球で大きく葛藤した時期がありました。その時、女性アスリートが子育てや家庭と競技活動、指導活動とを両立できるような仕組みが日本ではまだ整っていないと感じたのです。次の世代の女性たちが子育てをしながら指導者としても活躍できるよう、時代と共に道を切り拓くポジションとして、現場の声を吸い上げながら環境整備を行っています。

 

——これまでにどのような取り組みを進めてきたのですか?

子育て世代の選手や指導者が子どもを預けられるよう、大会や研修会場に託児所を設置したり、個々のニーズに寄り添った支援や競技団体への理解促進を促す取り組みを行ったりと、スポーツ界全体で子育てと両立しやすい環境が整うような提言やプロジェクトの推進を行っています。

 

 

「分からないなら、学んで知ろうとすればいい」
アライアスリート研修で得た学び

——谷本さんがアライアスリートになったきっかけを教えてください。

現役を引退して指導者となり、家庭に入って子どもを育てながらアスリートを支える側となったとき、夢に向かって頑張っている選手たちがベストを尽くせる環境を最大限に整えたいと思ったことが大きなきっかけでした。選手たちに自分らしく戦ってもらい、パフォーマンスを発揮してもらいたい。そのために私には何ができるんだろうと考えた結果、多様な性のあり方について学んでみたいと思い、2023年にアライアスリート研修を受けました。

 

——研修を受けて学びになったことは何でしたか?

一番の気づきは、「分からないことは、素直に分からないと言っていい」ということでした。指導者として活動していた頃の私は、アスリートをサポートするなら、競技のことはもちろん、栄養学から医学まで幅広い知識を自分自身で持っていなければいけないと考え、専門学校や大学院にも通っていました。でも、アライアスリート研修の中で講師の方が「分からないことは一緒に学んでいきましょう」と言ってくださったとき、目からうろこが落ちたような気持ちになりました。それまでそうした言葉をかけてもらったことがなかったので、肩の力が抜けたような、とても嬉しい気持ちになったのを覚えています。

分からないなら、知ればいい。その分野を知る人に聞けばいい。そのことを意識するようになってから、自分ひとりで何でも抱え込んでいた私の仕事への姿勢が大きく変わったように思います。実は今年の4月から日本パラリンピック委員会の強化本部長になったのですが、その中でも、様々な選手に自身の障害のことや困っていること、サポートしてほしいことなどを積極的にヒアリングするようになりました。仕事に対して不安や怖さを感じることも、もちろんあります。でも、「分からないから教えてほしい」と一歩踏み出した先に、新たな学びがあり、分かる世界がある。そのことを実感したので、これからも知ったかぶりをせずに、一人ひとりの声や想いを聞くことを大切にしていきたいと思います。

 

——現在、アライアスリートとして何か取り組んでいることはありますか?

2025年6月に代々木公園を中心に開催された『Tokyo Pride 2025』に初めて参加しました。パレードにも参加して、とても楽しかったです。

 

——『Tokyo Pride 2025』に参加してみようと思ったきっかけを教えてください。

2024年に開催された内容を参加した知人から聞いていて、個人的にずっと興味を持っていました。今年、知人に誘ってもらったこともあり、思い切って参加してみることに。実際にイベントに足を運んでみて、本当に良かったと思いました。

 

——どのようなところが「良かった」と感じたのでしょう?

本当にあたたかい空間が広がっていたんです。安心してコミュニケーションをとれる場があり、誰かと繋がって、「独りではない」と思える空気が会場全体に満ち溢れていました。私自身、現役時代や指導者時代に誰にも相談できない孤独感を味わったことがあります。その時の孤独な心情を思い返せば、『Tokyo Pride 2025』で誰かと繋がれる心強さ、あたたかさを久しぶりに感じられて、心が揺さぶられるものがありましたね。

パレードで歩いていると、沿道から周囲の人が手を振ってくれるのも嬉しかったです。選手として応援されていた頃の嬉しかった気持ち、懐かしい感覚を久しぶりに経験して、「やっぱり人と繋がって一体感を感じられることっていいな」と感じました。

『Tokyo Pride 2025』に参加して、百聞は一見に如かずだと改めて実感しました。何事も知らないのなら、しっかり学んで、自分でも経験してみるというのは、とても大切なことだと改めて思います。

 

アスリートが孤独を感じず、安心して自分らしくいられる居場所をつくる

——谷本さんは現在の活動の中で、アライアスリート研修で学んだ内容が活かせていると感じる場面はありますか?

私が担当しているアスリート向けの研修などで、アライアスリート研修で学んだ「仲間を理解し行動するチームづくり」や競技会場、選手村などの設備や仕組みについて、一緒に研修に参加していたメンバーに意見を聞くことがあり、活かせている部分は多いと思います。

 

——あらゆる人が自分らしく競技を楽しめるスポーツ界にするために、どのような仕組みやサポートが必要だと思いますか?

異なる競技の選手同士が交流できる場を増やし、選手が孤独を感じない、安心して自分らしくいられる居場所をつくることが大切だと考えています。例えば、オリンピックで金メダルを獲得したことがある選手同士が競技を超えて日頃の悩みを相談し合える場など、様々な話題を安心して話せるような機会や空気をつくっていく必要があると思います。

以前、アスリートにアンケートをとったとき、約8割の選手から「どんな大会でもいつも通りの環境で競技に臨めるようにしたい」という声が上がったことがありました。選手たちが大会や試合で、たとえ異なる地域や国に遠征したとしても、ホッとリラックスできる場所を用意して普段の実力を発揮してもらえるような環境をつくることが、ひいては「あらゆる人が自分らしく競技を楽しめるスポーツ界」の実現に繋がっていくのではないかと思います。

 

——選手同士の交流会などを、谷本さんが企画されることもあるのでしょうか。

あります。つい先日も、能登支援の活動を通した研修を行いました。異なる種目から10名ほどの選手が参加し、いろいろな話をして盛り上がっていました。こうした交流会は、‟種まき”の活動だと思っています。私たちが研修を通じて種をまき、それが研修後、各選手の中で花開いて新たな世界を切り拓いたり、視野を広げたり、社会に目を向けるきっかけになるなど、選手の人生や競技生活に良い影響を与えたりしてくれれば嬉しいですね。

 

——競技の垣根を超えてコミュニケーションをとることが、アスリートの視野や人生の幅、選手生活の幅を広げるきっかけになるのですね。

そう思います。そのことに気づいた大きなきっかけは、フランスで柔道の指導者として学びを深めたことでした。フランスでは多様な価値観を持つ人にたくさん出会いました。それまでの私は「強化」という目線で指導者として1つの価値観や物の見方に固執してしまっていたのですが、フランスでいろいろな生き方をしている人たちに触れて、自分自身の視野が大きく広がったんです。

現地では、様々な国籍の選手と話をしましたし、レズビアンをカミングアウトしている選手と一緒に練習をしたり、ご飯を食べに行ったりもしました。自分の考え方や生き方を大切にしながら、柔道選手としてキャリアを追い求めている。そんな選手たちの姿から良い刺激を受けたことで、交流会など選手の視野を広げるきっかけになるイベントを企画するようになったのです。

 

 

学びを深めながら、 より良いスポーツ界、より良い社会を目指したい

——今後、アライアスリートとしてどのような活動をしていきたいですか?

自分が先頭に立って何かをするというよりも、学びをさらに深めていき、いろいろな選手のサポートができるようになりたいです。プライドハウス東京から海外での取り組み事例などを教えていただく機会もあるため、そうした知識も活かしながら、私がサポートできることを増やしていけたらと思います。

 

——アスリートが輝ける環境整備に携わる谷本さんとして、最終的に目指すスポーツ界の姿はどのようなものなのでしょうか。

私はこれまで、引退後の選手たちの人生をたくさん見てきました。ただ、残念ながら自分が取り組んできた競技に戻ってこなくなってしまう人も多い。そうした現状を少しでも変えられたらと思っています。引退したとき、「この競技をやっていて良かった」と最後に思えるような、そんなスポーツ界になることを目指していきたいです。

 

——最後に、読者へのメッセージをお願いいたします。

この記事はきっと、LGBTQ+当事者の方、そして多様な人が自分らしく生きられる社会の実現に興味のある方が読んでくださっているのではないでしょうか。そうした方々に対してお伝えしたいのは、「一緒に学びを深めて、より良い社会を目指して頑張りましょう」ということです。誰かと繋がり、共に手を取り合って前に進むことで、社会が変わるきっかけを生み出せるのではないかと思います。私はこれからもいろいろな方とお話しながら学び続けていくので、皆さんと一緒に前に進んでいけたら嬉しいです。

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