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【アライアスリート・インタビュー⑨】「日常生活での言動が変わった」 元車いすバスケ選手・豊島英が研修を経て実感する変化

プライドハウス東京(PHT)では、2022年より、「アライアスリート」の輪を広げる活動に取り組んでいます。アライ(ally)とは、「同盟、味方」などを表す言葉。LGBTQ+当事者の味方としてともに行動する人たちを総称してアライといい、LGBTQ+当事者もアライになることができます。アライアスリートは、そのようなアライであることを公言し、スポーツ界から社会を動かすアクションを一緒にしていくアスリートです。

そうしたアライアスリートの育成・輩出にPHTとして取り組みはじめて早3年。今年、アライアスリートの人数が45名になりました。そこで、2025年度は、多様なアライアスリートの存在を知っていただけるよう、インタビュー連載を実施しています。全10回にわたり、各アスリートの来歴やアライアスリートになったきっかけ、活動内容などを取材。それぞれの想いをお届けします。

連載9回目は、元車いすバスケットボール選手の豊島英さんにインタビューを実施。アライアスリートになったきっかけや、研修を受講して変化した自身の意識などについて話を聞きました。

 

■プロフィール

豊島英(とよしま あきら)/元車いすバスケットボール選手

1989年生まれ、福島県出身。生後4カ月で発症した髄膜炎により、両下肢機能全廃の障害がある。特別支援学校の体育教師の勧めをきっかけに、中学2年生で車いすバスケットボールを開始。TEAM EARTH(福島のチーム)でプレーした後、2009年に宮城MAXへと移籍。日本選手権(天皇杯)での11連覇を経験する。また、パラリンピックへの出場経験もあり、3度目の出場となった2021年の東京2020パラリンピックでは男子日本代表チームのキャプテンとして、銀メダル獲得に貢献した。同大会を最後に現役選手を引退。現在は車いすバスケットボール男子日本代表のアシスタントコーチ、次世代強化カテゴリーのアシスタントコーチを務める。

 

自らの役割で技術を磨き、勝利に貢献する。車いすバスケのおもしろさ

——豊島さんは、2021年の東京2020パラリンピック後に車いすバスケットボールの現役選手を引退されています。現在の活動内容を教えていただけますか?

車いすバスケットボール男子日本代表のアシスタントコーチと次世代強化カテゴリーのアシスタントコーチを務めています。加えて、機会があれば、学校訪問や地域でのイベントなどで車いすバスケットボールの体験会や講演会も行っています。

 

——車いすバスケットボールとはいつ出会ったのですか?

中学2年生の頃です。当時通っていた養護学校(現・特別支援学校)で、体育の先生から地元のいわき市で開催される車いすバスケットボールの体験会を教えてもらったことをきっかけに、競技を始めました。

 

——車いすバスケットボールをプレーする醍醐味を教えてください。

車いすバスケはやればやるほど奥が深い競技で、おもしろさはいろいろなところにあります。まず言えるのは、一人ひとりにしっかりと役割があることです。どのスポーツにおいても同じことが言えるとは思いますが、車いすバスケでは特に、障害の程度が軽い選手も重い選手も同じコートに立ち、勝利を目指してプレーするのが特徴です。例えば、僕は障害の程度が重いほうから3番目の2.0の持ち点でした。プレーのなかでできること、できないことが当然ありますが、ひとたびコートに入れば、必要とされる役割があります。各々が自分のポジションで技術を磨き、チームの勝利に関わっていくおもしろさがあると思います。

 

——車いすバスケットボールでは、各選手に持ち点が割り振られているのですね。ルールについても、改めて具体的に教えていただけますか?

障害の程度によって、各選手に1.0から4.5までの持ち点がつけられており、コート上の5人の合計を14点以内にしなければならないというルールがあります。すると、どの持ち点の選手であっても組み合わせによっては、出場する機会が得られるため、必然的に公平性が生まれるんです。

 

アライアスリートになって、日常生活での意識が変わった

——豊島さんがアライアスリートになろうと思ったきっかけを教えてください。

きっかけは、日本財団が主催する「HEROs(HEROs Sportsmanship for the future)」です。引退後のキャリアを決めかねていたとき、アスリートの社会貢献活動を推進するこのプロジェクトの中でアライアスリートの存在を知り、研修を受けることに決めました。

 

——アライアスリート研修で最も学びになったことは何でしたか?

すべてにおいて新鮮でした。同じ物事でも、僕が普段感じているのとは異なる受け止め方をする人が世の中にたくさんいる。その事実を知れたことは大きかったです。日頃の生活の中で発言や行動に気をつけなければいけないと、改めて感じました。

 

——研修後、具体的に変わった行動などはありますか?

例えば、会話の中で恋愛話になったとき、彼氏・彼女という性別に紐づいた言葉を使うのではなく、「パートナー」や「付き合っている人」という言葉を使うようになりました。以前は女性なら‟彼氏”、男性なら‟彼女”と無意識のうちに分けていたのですが、恋愛関係にはいろいろな形があることを学んだので、僕が相手の性的指向を勝手に決めつけることなく幅を持ってコミュニケーションができるように心がけています。

 

——プライドハウス東京のアライアスリート紹介ページで、「社会だけではなく、スポーツ界においても、誰もが自分らしくいられる場所、誰一人取り残されない場所になってほしいと願っています。」というメッセージを載せた背景についてお聞かせください。

LGBTQ+に関しては、社会の中で少しずつ認知が広がっているように思います。その一方で、スポーツ界においてはまだまだ理解や取り組みが不足している現状があります。

例えば、今でも多くの競技では、チームを組んだり試合を行ったりするときに“男女”で分かれますよね。もちろん僕がプレーしていた車いすバスケのように、男女混合でチームを組むケースもありますが、そこでもやはり意識されるのは“男女”です。でも、この社会には男女だけではない多様な性のあり方があります。そのことを知り、日々意識しておく必要があるとアライアスリート研修を経て感じました。

一人ひとりのアスリートが自分らしく、結果を出せるようにするためには、心理的安全性が保たれた、誰一人取り残されない場所をスポーツ界でも作っていかないといけない。そうしたことをスポーツに関わる多くの人が考えてくださったらという想いから、このメッセージを記載しました。

 

——スポーツ界でLGBTQ+に対する理解や行動を広げていくために、どのような取り組みが必要だと思いますか?

特に日本の車いすバスケットボール界においては、LGBTQ+理解についての取り組みをほぼ行っていないと思うので、講習の受講や、当事者の話を聞く機会のあるプログラムを組んで、各選手に学びの場を提供することが必要だと思います。あるいは、大会の会場に関連ブースやチラシを設置するのもひとつの方法かもしれませんね。

あとは、LGBTQ+当事者の選手が安心して自分のことを話せたり、カミングアウトを特にせずとも自分らしくいられたりする環境を整えるためにも、車いすバスケ選手やバスケ選手の中にももっとアライアスリートが増えていったらいいなと思います。

 

——ちなみに、車いすバスケットボールにおいては、障害とLGBTQ+の双方の当事者であることで何か困りごとなどは生じないのでしょうか。

どうですかね……。海外ではカミングアウトしている選手数を公表しているところもありますが、日本はそれがありません。そのため、日本でLGBTQ+当事者の車いすバスケ選手がどれほどいるのか分からないのが正直なところです。もしかすると、僕の気がついていないところで、着替えなどに困っている選手がいるのかもしれません。

ただ、特に国内大会では、性別関係なしに大会に出場できる機会があるため、性別によって競技活動が制限されるケースは少ないのではないかと感じます。というのも、男子チームには女子選手を登録することができるんです。女子選手が加わった場合、その選手の持ち点を1.5点引いて考えます(2026年4月からは1.0に変更)。そのため、出生時に割り当てられた性別は女性で、性自認が男性の選手は、比較的活動がしやすいかもしれません。一方で、女子チームには男子は登録できないため、出生時に割り当てられた性別が男性で、性自認が女性の選手はやりにくさを感じる可能性があるかもしれません。

 

——アライアスリートとして今後行っていきたい活動があれば教えてください。

2025年はスケジュールの関係で参加できなかったので、今年はプライドパレードに参加したいです。あとは、プライドハウス東京のユースチームが制作を手がけているショート動画などの拡散にも協力したいです。僕自身が何かを作り出すよりも、当事者の方々の想いを世の中に伝えていくお手伝いができたらと思っています。

 

知識を得て、‟決めつけ”から脱却することが
あらゆる人が生きやすい社会の実現につながる

——車いすで生活する当事者として、日本社会に対して思うことがあれば伺いたいです。

「障害がある」ということが、マイノリティとして扱われてしまう場面は少なからずあると思います。それはLGBTQ+当事者の方々と少し似通っている部分でもあるなと、アライアスリート研修で感じました。

ただ、社会や所属コミュニティの中でマイノリティになってしまうことは、別に障害者やLGBTQ+の方々に限った話ではありません。シングルマザー、シングルファーザーの家庭、きょうだいの有無、国籍など、さまざまな要素で‟少数の側”になりえます。だから僕自身は、障害があることをあえて特別視する必要はないと考えています。

ただ、ハード面や制度などについて、考慮いただいたうえで生活できている部分も多くあるので、その点は感謝するとともに、今後も継続していただきたいところです。

 

——豊島さん個人としては、障害があることで日々の暮らしや活動が制限されたことはあまりないという感覚なのでしょうか。

今は「自分がマイノリティである」と感じる場面は少ないですね。ただ、子どものころはマイノリティ性を突きつけられる場面がたしかにありました。というのも、保育園や学童は健常者の子が行くところに通っていたからです。普段は特別扱いされることはなかったものの、子ども同士の中では勝手に「英はこういうことはできないでしょ」と決めつけられるシーンが時折あったので、そうした時はどうしても輪の中に入りきれない自分をひしひしと感じていましたね。

でも、車いすバスケが僕の強みに変わってからは、周囲の言葉や態度に振り回されないメンタルを確立できたのではないかと思います。強みを買ってくれる人が周囲に増えたので、自分としても自信がつき、考え方の幅も広がりました。

 

——ご自身の経験も踏まえ、あらゆる人が生きやすい社会にするために、今の日本にはどのような仕組みや意識が必要だと思いますか?

決めつけで物事を判断しないという姿勢と、知らないことは知識を得るようにするという意識。この2つが世の中にもっと広がっていくと良いのではないでしょうか。障害、LGBTQ+、あるいはそれ以外のことであっても、人はそれぞれ異なる考え方や個性を持っています。でも、今の社会はそれを無視して「障害があるから」「性的マイノリティだから」と、特定の枠組みで相手のことを決めつけやすい。そうなってしまうのは、知識が不足しているからだと思います。分からないことについて、一般的な考え方を自分の主張としてしまうケースがかなり多いのです。

あらゆる人が自分らしく過ごせる社会にするためには、見た目や属性などで決めつけることなく、目の前の相手を知ろうとし、理解していくことが何よりも大切なのではないかと思います。

 

——最後に、LGBTQ+当事者の方やLGBTQ+に関心のある方に向けてメッセージをお願いいたします。

全く知識がないところからアライアスリート研修で学びを深めた結果、LGBTQ+の方々が身近にいるという前提で、普段の行動や発言をしていくべきだと思い改めるようになりました。少し意識をするだけでも、行動や態度に変化が起こると思います。大きく変わるのは難しくても、今できることから始めていってほしいですし、寄り添う気持ちを大切にしてほしいです。僕自身も、これからもできることを実践し、日々言動に気をつけながら過ごしていきたいと思います。皆さんと一緒に、より良い社会の実現に向けて進んでいけたら嬉しいです。

 

 

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