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【インタビュー】フラットに個人と向き合うことで、もっと生きやすい社会になる。アライアスリート・中嶋明子の思い

プライドハウス東京では、2022年より「アライアスリート」の輪を広げるべく活動を続けています。

アライ(ally)とは、「同盟、味方」などを表す言葉です。LGBTQ+当事者の味方として共に行動する人たちを総称してアライといい、LGBTQ+当事者もアライになることができます。

アライアスリートは、そのようなアライであることを公言し、スポーツ界から社会を動かすアクションを一緒にしていくアスリートです。プライドハウス東京が主催するイベントや研修に登壇し、自身のSNSでも情報発信を行うなど、精力的な活動を続けています。

今回は、パラパワーリフティング現役選手の中嶋明子(なかじま・あきこ)さんにインタビューを実施しました。「誰もが区別されることのない世界になるように」と、アライアスリートへの参加を決めたという中嶋さん。そのような思いを持つに至った背景や活動に対する考え方、今後の目標などについて詳しく話を聞きました。

 

■プロフィール

中嶋明子/パラパワーリフティング(元パラカヌー)

大学院博士課程に在学中、交通事故で胸髄を損傷し車椅子生活となる。その2年後にパラカヌーと出会い、日本代表選手を経験。2013年〜2017年まで世界選手権に出場(KL1/VL1)し、2016年、2017年にはVL1で2位となる。2016年よりパラパワーリフティングをトレーニングに取り入れ、2017年から同種目の日本代表に。現在はパラパワーリフティングに転向し、競技者と会社員の二足の草鞋で競技生活を続けている。

 

現代社会の「マジョリティ」は、本当にマジョリティと言えるのだろうか?

 

——中嶋さんがアライアスリートに参加した理由を教えてください。

自分自身が障がい者としてさまざまな場面で区別されてきた経験があり、人を属性で区別しやすい社会の風潮に疑問を感じていたことが大きな理由です。

実は障がい者は、スポーツをやる上で区別されてしまう機会が多いものです。例えば、私が1人で市民プールに行こうとすると、自治体によっては障がいがあることを理由に断られてしまうことが少なくありません。

でも、私は1人で泳げます。万が一、プールサイドから水の中に落ちてしまったとしても、自力で戻れる自信があります。しかし、それをいくら施設に訴えたところで、「障がい者だから」と1人での水泳は拒否されてしまうんです。もちろん、安全性への配慮という観点は理解していますが、個々の能力に沿った対応を考えてくださるところはそこまで多くありません。

このような「個々人の本質を見ずに属性だけで区別をしてしまう状況」は、LGBTQ+当事者にも起きているように感じます。私も「障がい者」という属性によって、マイノリティーとして社会から弾かれてしまいやすい側にいるため、LGBTQ+当事者がスポーツの世界で苦しい思いをしているのなら、それは止めなければいけないと思いました。そのため、アライアスリートの活動に加わることを決めたのです。

Photo:Hiroki NISHIOKA

 

——アライアスリートの紹介ページに、中嶋さんは「最近では、LGBTQ+の区分が細分化されてきており、ほぼすべての人がいずれかの項目に思い当たるのではないかと感じている」という言葉を記されているのが印象的です。

今も昔も日本社会にはどちらかというと何でもはっきりと白黒つけたがる風潮があるように感じますが、障がいの有無もLGBTQ+のカテゴリーも、どちらもグラデーションがあって、はっきりと明確に線引きできるものではないと思うのです。

LGBTQ+は、私が子どもの頃はもっとざっくりとしたカテゴリーしかなく、情報もありませんでした。それが今は、かなり細分化が進み、本当に多様な性的指向や性自認があることが知られています。ここまで細分化が進んでくると、それはもはや各個人の個性の話に近づいているような気がします。

そしてそれは、性的指向や性自認に限った話ではありません。国籍や性格、考え方、置かれた環境も、何か決まったカテゴリーに当てはめられるものではなく、人それぞれ異なっているはずです。誰一人として全く同じ特徴を持つ人はいないことを考えると、この世界に生きる人たちを何らかのカテゴリーで区分して考えようとするよりも、それぞれ違う「個人」の集合体で世界が成り立っていると捉えたほうが良いように思うのです。

 

目の前にいる個人と全力で向き合うことが、多様性社会につながる

 

——中嶋さんは、2月18日に開催されたイベント『ユースと考える、だれもが安心・安全に楽しめるスポーツのためのカンファレンス』にも参加されていましたよね。このイベントで学びや気づきになったことは、何かありましたか? 

グループワークで多様な方とお話をしたことで、改めて「個人と向き合う大切さ」を振り返ることができたように思います。

特に私のいたグループでは、学校の体育の授業や部活動などで、教員や指導者から「女性だからこの種目はできない」「男性だから厳しい環境下での練習にも耐えろ」というような性別役割意識が根強く残った声かけをされることに疑問の声が上がっていました。そもそも二元的な性別で区分するのが良いのかどうかという論点もあります。しかし、それに加えて、男性も女性と同じように一人ひとり個性があり、持っている能力も異なるという点を忘れてはいけないように思います。

グループワークを通じて改めて、これからは各個人の能力や個性を認め、受け入れ、活かせる社会であらねばならないと感じたのです。

 

でも、そういった社会を実現するためには、組織のトップ層に立っている私たちよりも上の世代の人たちがもっと物事や個々人を「フラットに見ること」を学ばなければなりません。私たちの世代は、性別による役割意識が根っこにあり、その規範をもとに物事を見ることが当たり前でした。だから、今のユースのようにフラットに人を見て、接するということがどういうことなのか、よく理解できていない方も多いと思います。

そういった人たちにどうやって、LGBTQ+当事者やユースのみなさんの抱える「この社会での生きにくさ」を伝えたらいいのだろうと、イベントへの参加をきっかけに改めて考えるようになりました。

 

——その「伝え方」に関して、この1カ月で何かいいアイデアは浮かびましたか? 

すごく難しいことではありますが、「人と関係を深めていく上で、物事をもっとフラットに見るべきなのではないか」というメッセージを発信し続けるしかないのかなと。私がこれまで考え続けてきたことを、地道に伝えていくしかないと思います。

仕事と競技生活の両立で忙しく、これまではあまりSNSをやるタイプではなかったのですが、もう少しLGBTQ+のことやSNSの使い方などを勉強して、これからは自分の言葉がもう少し広い範囲の方々に届くように活動をしていければと考えています。

 

——最後に、少し大きなテーマで質問をさせてください。「誰もが自分らしく生きられる社会」を実現するために、どのようなことが必要だと思いますか?

 目の前にいる人と向き合い、その人のことを全身で感じてみる。相手に対して純粋な興味を持ち、その人の考え方や気持ちを知ろうとする。そのような意識を私たち一人ひとりが持っていることが、何よりも大切なのではないでしょうか。

私も日頃の生活の中で、「私自身のことを見てほしい、知ろうとしてほしい」とよく思います。障がい者だから、女性だから、東大出身だからと、私にまつわるラベルで、私がどんな人なのかを表面的に判断してほしくありません。どんなラベルがあろうと、その人自身のことを知ろうとしてほしい。そうしてこそ、相手と心地よい関係を築けるのではないかと思います。

とはいえ、人と関係を築く上では、「ああしなきゃ」「こうしなきゃ」という思い込みもさまざまな区別につながり、現在の社会のあり方に結びついてしまうような気がしています。思い込みは捨て、ただフラットにどっしりと構えて、相手のことを両手を広げて受け止める。そんな姿勢も必要なのかなと思います。

それから最後に、この場を借りて、LGBTQ+当事者のみなさんへアライアスリートとしてのメッセージを一言お話させてください。LGBTQ+当事者のみなさんは、ぜひ自分を大切にして、「あなたらしさ」を失わないでいただけたらなと思います。今の世の中はどうしても見た目や行動で「女性らしい」「男性らしい」と決めつけてしまう傾向がありますが、そういうものにとらわれずに、自分が一番リラックスできる姿で生活してほしいです。私もアライアスリートとして、みなさんがもっと生きやすい社会を実現できるよう、あらゆる区別がなくなる世界を目指して引き続き活動に力を入れていきたいと思います。

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