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【インタビュー】LGBTQ+当事者として紡ぐ言葉が、誰かを支え、社会を変えるきっかけになれば。アライアスリート 村上愛梨を突き動かすもの

プライドハウス東京では、2022年より「アライアスリート」の輪を広げるべく活動を続けています。

アライ(ally)とは、「同盟、味方」などを表す言葉です。LGBTQ+当事者の味方として共に行動する人たちを総称してアライといい、LGBTQ+当事者もアライになることができます。

アライアスリートは、そのようなアライであることを公言し、スポーツ界から社会を動かすアクションを一緒にしていくアスリートです。プライドハウス東京が主催するイベントや研修に登壇し、自身のSNSでも情報発信を行うなど、精力的な活動を続けています。

今回、LGBTQ+当事者としてアライアスリートの活動を行うラグビー選手・村上愛梨(むらかみ・あいり)さんにインタビューを実施しました。アライアスリートになることを決めた経緯や活動への思い、今後の目標などについて詳しく聞きました。

■プロフィール

🄫OPT UNITED

村上愛梨/ラグビー選手

1989年、東京都生まれ。小学生の頃からスポーツに親しみ、バトントワリングや野球を経験。中学からはバスケットボールを始め、大学を卒業後は地方企業の実業団チームで選手として活躍。2度の全国制覇に貢献した。2016年、26歳でラグビーへ転向。2019年にはラグビー15人制の日本代表に選出。現在は横河武蔵野アルテミ・スターズの選手として、日本一のチームになるべく邁進中。

LGBTQ+当事者として、アライアスリートの輪に参加した理由

 

——村上さんは4年前、30歳の誕生日を迎えたタイミングで、ご自身が同性愛者であることをカミングアウトしていますよね。

そうですね。30歳の誕生日に、Twitter(現・X)で公表しました。

 

——カミングアウトすることを30歳で決断したのは、どうしてですか?

いろいろな条件がそろったことが大きいです。もともと周囲には隠していなくて、20歳の頃に母に明かして以来、「歩くカミングアウト」とでも呼べるくらい、性自認や性的指向に関してはオープンにしていました。

ただ、カミングアウトをする際は、付き合っているパートナーがいる場合、その人の考え方を尊重することも大切です。30歳のときに付き合っていたパートナーは、性的指向についてオープンなスタンスをとっていたことから、このタイミングで世間にも公表しようとカミングアウトを決意しました。

あとは、母はもちろんのこと、所属チームの監督やメンバーにも自分のことを理解してもらえていたので、周囲の方々が心の支えになっていたことも後押しになりました。同性愛の公表後、少しトラブルに巻き込まれてしまったときも、母が誰よりも味方になってくれて。周囲に恵まれていたことも、自分が今日までやってこれた理由だと感じています。でも、自分は“大丈夫”だったけれど、世の中にはそうではない当事者も多い。悩ましいなと思います。

 

——そういった経験や思いが、アライアスリートとして活動を開始するきっかけになったのでしょうか。

それはあると思います。特に自分がカミングアウトをしたとき、予想はしていましたが、本当に大きな反響があって。応援の声もたくさんいただきましたが、その反面、インターネット上ではネガティブな言葉をかけられることも多くて、かなり疲弊してしまった時期もありました。

そんなとき、プライドハウス東京で共同代表を務めている野口亜弥さんから連絡をいただいて、「サポートします」と力強い言葉をかけてもらいました。野口さんとつながったことは、アライアスリートとして活動を始める大きなきっかけになったと思います。

自分は当事者かつアライですし、ラグビー界で最初にカミングアウトをしたアスリートでもあったので、アライアスリートにならない理由がなかったんです。

 

「怒り」で人はつながらない。多様な人が共存する社会の実現に必要なこととは

 

——2月18日に成城大学で開催され、村上さんもスピーカーとして登壇した『ユースと考える、だれもが安心・安全に楽しめるスポーツのためのカンファレンス』。このイベントに参加し、多様な方と話をしてみて、LGBTQ+当事者を取り巻くスポーツや社会環境について何か学びや気づきはありましたか?

自分は当日、参加者の大学生と話をすることができたのですが、これまでの人生で蓄積されてしまったのだろう、その子の「怒り」を目の当たりにしていろいろと考えてしまいました。その子の言葉や表情は、今も忘れられないです。ユース向けのイベントを開催できて、本当によかったなと感じました。あの子にとって、日頃の思いや考えを吐き出す、1つのはけ口になったと思うので。

でも、その大学生の怒りを感じたことで、改めてこの社会に渦巻いている「怒りと分断」について深く考えるきっかけになりました。自分が優しすぎるのかもしれませんが、やはり「怒り」を使ったコミュニケーションや行動では、多様な人をつなぐことは難しいと思ったのですね。自分たちLGBTQ+の当事者もそうではない方も、みんな同じ世界に生きていて、どちらか一方だけが生き残ればいいという話ではありません。

今の世の中は、他者に対して自分ではっきりと線引きをしてしまうことが多すぎるのではないかと感じています。お互いに共存することを意識して、もっとやわらかなコミュニケーションがとれるといいのになと思いました。

 

——そうしたコミュニケーションを実現するために必要なことは、何だと思いますか?

バックグラウンドの違う人たちとも、前向きに信頼関係を築こうとすることでしょうか。難しいことではあるのですが、自分がそれを体現して、世の中の多くの方に「そういうコミュニケーションの仕方もあるのか」と感じてもらえたらいいなと思います。それがひいては、社会がより良く変わるきっかけにつながれば嬉しいです。

 

——背景の異なる方と信頼関係を築くことは容易ではありません。村上さんは、普段誰かと信頼関係を築く上でどんなことを意識していますか?

海外の選手など、バックグラウンドがバラバラなメンバーとともに1つのチームをつくってラグビーをしてきた経験から考えると、「同じ時間を過ごす」ということは信頼関係を築く上で大切なことだと思います。挨拶をして、同じ釜の飯を食べて、臆することなく言葉を交わす。そういう基本的なことをやって、自分がオープンでいれば、どんな行動も全部正解になるのかなと思っています。

とはいえ、もともとの性格も影響している部分があるかもしれません。自分は母がとてもオープンな人で、その性格を受け継いでいるので、「人のことを信じすぎ」と周囲から言われるくらい、人が好きで、信じてしまう人間なんですよね。

 

——LGBTQ+当事者の中には、過去の経験から心をオープンにしづらいと感じている方も多いかもしれません。そうした方々に声をかけるとしたら、どんな言葉を選びますか?

そうですね……先ほど「同じ時間を過ごす」という話をしたのですが、信頼関係をつくることはそんなに簡単なことではないからこそ、決して急ぐ必要はないというメッセージを伝えたいです。自分のペースでオープンになれればいいと思います。時間をかけて良いので、自分のことを話したいと思えたタイミングで心を開くことができたら、それでいいのではないかなと。

 

今後は教育現場での活動に力を入れ、救える命を増やしたい

 

——村上さんは、先ほど少しお話を伺った2月のイベント登壇をはじめ、アライアスリートとしてさまざまな情報発信を精力的に続けられている印象があります。活動の原動力はどこにあるのでしょうか。

発信することによって新たな出会いが生まれ、次の行動につながっていく実感があることが、活動の大きな原動力になっていますね。自分たちの行動がつながっていけば、この先の未来も何かが変わるかもしれない。そんな期待感を持ちながら、活動と向き合っている部分があります。

あとは、自分の過去の経験も、活動に影響を与えているかもしれません。自分自身、現役アスリートとして日本で初めてLGBTQ+当事者であることをカミングアウトした下山田志帆さんの言葉から、大きな力をもらっていました。自分が発信を続けることで、誰もが自分らしく話をしていいんだということが、世の中に伝わったら嬉しい。そのような思いも、活動を続けていくパワーの源になっています。

 

——アライアスリートとして今後やりたいことをお聞かせください。

現在は企業や自治体向けの研修で登壇することが多いのですが、今後は教育現場での研修や講演会にも登壇していきたいです。

自分の中高時代を振り返ってみると、LGBTQ+当事者として辛い経験をしたとき、先生を頼ることができたら、学校がもっと安心できる場所になっていたように思うんです。自分の場合は母や後輩が味方をしてくれたから、自分の性的指向を理由にいじめが発生しても心を守ることができましたが、学校の先生も味方になってくれるような世の中になれば、もっと救える命があるのではないかと感じています。多様な子が学校で自分らしく、活き活きと過ごせる社会になるように、これからの活動にも引き続き力を入れていきたいです。

 

——最後に、読者へのメッセージをいただけないでしょうか。

皆さんには、私がいつも母からかけてもらっていた「あなたが今歩いている道は、あなたが選んだのではない。天からあなたが選ばれたから、その道を歩いているんだよ」という言葉を贈りたいです。

LGBTQ+当事者は、自分のことを責めてしまう機会が多いかもしれません。でも、セクシュアリティや性格を含めて、今の自分がこういう自分なのは、神様のような大きな力に選ばれたからだと考えると、もはや自分がどうにかできる次元を超えていますから、周囲に否定されたり、責められたりする言葉に耳を貸す必要はないと思えてきませんか?

今、もし深い悩みの沼にはまってしまっている方がいたら、自分のことをたくさん認めてほしいなと思います。そして、社会の多くの方に、自分たちのような当事者のことをもっと知っていただきたいです。LGBTQ+に対する社会の理解が深まっていくごとに、これからの子どもたちも含めて、あらゆる方が自分らしくいられる世界になっていくのではないかと思います。自分の存在や活動が、そういった社会をつくる1つのきっかけになれたら嬉しいです。

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